こんにちは!くま吉です。(@hanatare_kuma)
今回もFX初心者のリスク管理(保有する通貨量)の考え方について書きます。
リスクをとってリターンを得るという投資には、当然資産が増えることだけでなく減ることも想定されるわけです。
とはいっても、不釣り合いに大きなリスクをとって、想定以上に資産を減らしてしまうことは避けたいですよね。
この記事を読めば、保有通貨の量を変えると運用にどんな影響があるのか、どうして高いレバレッジは危険と言われるのかがわかります。
リスクをしっかり管理して、効率よく資産を増やしていきましょう!
目次
通貨を保有するとは?
FXで通貨を保有する(取引する)には、買う・売るの2つの方法があります。
米ドル円という通貨ペアを例に考えてみましょう。
この場合、日本円と交換する形でアメリカのドルを買ったり売ったりします。
例えば、1米ドル = 100円のときに1万米ドルを買い、1米ドル = 101円のときに売れば、利益が1万円となるわけです。
このような買いから入る取り引きをする場合、1万米ドルを買って保有している状態のことを1万米ドルを買いで保有していると表現します。
同じ意味の別の表現で1万米ドルの買建玉(かいたてぎょく)を持っているという言葉や、1万米ドルのロングポジションをとるというように表現することもあります。
もちろん売りから入る取り引きをすることもできます。
1万米ドル = 100円のときに1万米ドルを売り、1米ドル = 99円のときに買い戻せば、こちらも1万円の利益を得ることができます。
このような売りから入る取り引きをする場合、1万米ドルを売って保有している状態のことを1万米ドルを売りで保有していると表現します。
同じ意味の別の表現で1万米ドルの売建玉(うりたてぎょく)を持っているという言葉や1万米ドルのショートポジションをとるというように表現することもあります。
このように、相場の状況に合わせて買いからも売りからも取り引きを始められるのが、FXの強みです。
なお、1万米ドルを買いで保有した場合、将来どこかのタイミングで1万米ドルを売る約束をしているという意味にもなります。
買ったらいずれは売る、売ったらいずれは買うという、買いと売りのセットで取引は完結するのです。
保有通貨量が増えると?
口座の残高に対して保有通貨量が増えすぎると、必要証拠金額が上がり、含み損益の変動が大きくなるため、ロスカットになりやすくなります。
もう少し詳しく見ていきましょう。
必要証拠金額が上がる
通貨を保有するときには、必要証拠金が必要です。
必要証拠金のレバレッジは25倍としている取引業者が多く、本来の25分の1の価格で取引できます。
しかし、どんなに少額でもたくさんの通貨を保有すれば、その分だけ必要証拠金額は上がっていきます。
1米ドル = 100円で1万米ドルを保有するために、4万円の必要証拠金が必要だとします(必要証拠金のレバレッジは25倍)。
1万米ドルだけ保有したと考えましょう。
ロスカットの基準額が必要証拠金の50%(有効比率50%)という取引業者であれば、口座の残高が2万円になったときロスカットとなります。
では、25万米ドル保有したと考えましょう。
このときの必要証拠金は 4 × 25 = 100
100万円となるので、口座の残高が50万円になるとロスカットになります。
ロスカットになる基準額が、2万円と50万円というふうに、大きく違うことがわかります。
このように保有通貨量が増えると、どうしても必要証拠金額も増えてしまうので注意が必要です。
保有する通貨量が少ない場合と比べて、ロスカットになりやすくなってしまうのです。
ただし、必要証拠金を増やさないままで保有通貨の量を増やす方法がないわけではありません。
両建て(りょうだて)です。
MAX方式というものがあり、同じ通貨ペアに対し買建玉と売建玉を同時にもったときは、証拠金の合計額の多い方のみを必要証拠金とするというルールがあります。
米ドル円の通貨ペアで、5万米ドルを買いで保有し、4万米ドルを売りで保有するとします。
1万米ドルを保有するのに必要な必要証拠金が4万米ドルとすると、
(買い) 5 × 4 = 20
(売り) 4 × 4 = 16
なので、本来は合計36万円の必要証拠金が必要になるわけです。
しかし、このMAX方式を採用している取り引き業者の場合、買いと売りの必要証拠金額のうち、多い方のみが必要となります。
上の場合であれば、買いの20万円だけが必要ということになり、本来36万円のはずの必要証拠金が半分近くに抑えられることになります。
このように、保有通貨量を増やしても必要証拠金が比例して増えないようにする方法もあるのです。
しかし、FXを始めたばかりの初心者の方にはあまりお勧めしません。
通貨の価格は常に変化しており、買い建玉や売り建玉が増えていくと、それだけ複雑な動きをするようになります。
その動きと連動して自分の資産がどう変化するのか判断するのは、初めのうちはなかなか難しいと思うからです。
取り引きに慣れてきて、”両建てを使った運用プランをしっかり立てて、試してみたい!” とか、”必要証拠金を抑えて資産をより有効活用したい!” という場合に、チャレンジしてみるとよいでしょう。
含み損益の変動が大きくなる
保有通貨量が増えるとロスカットになりやすくなるのは、必要証拠金が増えることだけが原因ではありません。
保有通貨量が増えると、それだけ含み損益の変動幅が大きくなるのです。
1米ドル = 100円で1万米ドルを保有するためには4万円の必要証拠金が必要だとします(必要証拠金のレバレッジは25倍)。
1万米ドルだけ保有したと考えましょう。
ロスカットの基準額が必要証拠金の50%(有効比率50%)という取引業者であれば、口座の残高が2万円になったときロスカットとなります。
保有している通貨量は1万通貨なので、価格が1円下がると1万円の含み損が発生します。
口座の残高は2万円になるまで耐えられるので、
100 - 2 = 98
98万円の含み損まで耐えられます。
下落幅で言えば、98円の下落に耐えられるということです。
つまり、ロスカットになる可能性は限りなく低いと言えます。
では、25万米ドル保有したと考えましょう。
このときの必要証拠金は 4 × 25 = 100
100万円となるので、口座の残高が50万円になるとロスカットになります。
保有している通貨量は25万通貨なので、1米ドル円が1円下がると25万円の含み損が発生します。
たった2円の下落で含み損は50万円に到達するのです。
このことから、ロスカットになる可能性は限りなく高いと言えます。
米ドル円の通貨ペアにおいて、2円の価格変動なんて日常茶飯事です。
下の図は、過去約20年間の米ドル円のチャート(価格の値動きをグラフであらわしたもの)です。

ここ最近の米ドル円の動きはかなり穏やかな方です。
それでも一年間に約11円程の価格変動がありました。
2円の程度の価格変動は、1日で起こることはあまりありませんが、数カ月という時間の幅で考えれば十分起こり得ます。
保有している通貨量が多すぎると、わずかな価格変動に耐えられず、簡単にロスカットになってしまうことがおわかりいただけると思います。
ひょっとしたら、自分はデイトレード(1日のうちに数回、通貨を保有したり決済したりするような、短期間でのトレードのこと)をするので大丈夫!と言う人もいるかもしれません。
しかし、自分が予想した方向に価格が動いたならばすぐ決済できるでしょうが、反対に動いた場合にすぐに損失を受け入れられるでしょうか?
通貨量が多い場合は、予想と反対方向に1円価格が動いただけで、25万円も損失が膨らむのです。
ついつい、明日になれば元に戻ってるかもなどと決済を先延ばしにし、次の日に見てみるとさらに損失が膨らんでしまって……。
初心者がお金を失っていく、典型的な失敗例です。
繰り返しになりますが、保有する通貨量が多ければそれだけ利益を得られますが、同時に損失の膨らみも大きいのです。
まさに、ハイリスクハイリターン。
私は、初心者であればあるほどこのようなトレードの仕方をお勧めしません。
ロスカットについては、こちらの記事でも詳しく書いています。

保有通貨量とレバレッジ
保有通貨量と必要証拠金や含み損益の関係について書いてきました。
口座残高に対して保有通貨量が増えすぎるとロスカットになりやすく、少なくなるとロスカットになりにくいということも、おわかりいただけたと思います。
運用プランは、運用資産の規模によって大きく変わります。
運用資産の規模によって、可能な運用の仕方と不可能な運用の仕方があるのです。
だからこそ、仮にブログやツイッターなどでものすごい利益を上げている運用プランが紹介されていても、安易に真似をしてはいけません。
どれくらいの資産を運用してその利益を上げているかを、まず調べるべきなのです。
では最後に、保有通貨量と実効レバレッジの関係について簡単にまとめましょう。
通貨量が多いと実効レバレッジが高くなる
口座残高に対して保有通貨量が多くなると、必要証拠金額が増えるため、高レバレッジとなります。
1米ドル = 100円、口座の残高は100万円とします。
20万米ドルを保有するとき、20万米ドル = 2000万円ですから、
2000 ÷ 100 = 20
実効レバレッジは20倍ということになります。
日本では実効レバレッジは最大25倍までとされているので、20倍はかなり高い数字となります。
実効レバレッジ20倍での運用は、少しの価格変動で口座の残高を大きく減らすことがあり、結果的にロスカットになりやすくなります(もちろん大きく増やすこともありますが)。
口座の残高と必要証拠金の金額差がなくなって同じになる、または残高の方が少なくなりそうだというときは要注意です。
有効比率の50%でロスカットというルールの場合、すでに100%を切ろうとしているのですから……。
損失を受け入れて保有する通貨の量を減らすか、追加で口座に入金するかして、ロスカットを避けるようにしましょう。
通貨量が少ないと実効レバレッジは低くなる
口座残高に対して保有通貨量が少ないと、必要証拠金額も少なくなるため、低レバレッジとなります。
1米ドル = 100円、口座の残高は100万円とします。
千米ドルを保有するとき、千米ドル = 10万円ですから、
10 ÷ 100 = 0.1
実効レバレッジは0.1倍ということになります。
まだまだ余力があるので、通貨量を増やしたり、他の通貨ペアを保有したりすることも考えられます。
多少の価格変動でも口座の残高が大きく減ることはなく、結果的にロスカットにはなりにくいです(逆に大きく増えることもありません)。
口座の残高に対して必要証拠金の金額がかなり小さく、金額差がある状態なら、安心して運用を続けることができます。
とはいえ、レバレッジが低すぎるのも考えものです。
それは、口座の中に眠ったままになっているお金が出てきてしまうためです。
有効な資産の使い方に興味のある方は、こちらもご覧くださいね。

実効レバレッジはロスカットの目安
保有通貨量が多く、たくさんの外貨をぎりぎりの資金で運用しているときは、実効レバレッジは高くなります。
一方、保有通貨量が少なく、少量の外貨を余裕のある資産で運用しているときは、実効レバレッジは低くなります。
FXについて調べたときに、一度はレバレッジは低くしよう!高レバレッジは危険!などという言葉を目にしたことはないでしょうか?
実効レバレッジはロスカットになりやすいかどうかが一目でわかる、便利な目安ということができます。
レバレッジについてはこちらをご覧ください。

まとめ
今回の記事でお伝えしたかったことをまとめると以下の通りになります。
低レバレッジはロスカットになりにくく、高レバレッジはなりやすい。
自分の口座資金や運用プランに合わせ、保有する通貨量を調整しよう。
短期間のうちに大きな利益を得ようと、無理に通貨保有量を増やし、高レバレッジで取り引きすることは非常に危険です。
資産運用を成功させるには、時間を味方につけることが第一歩。
初心者こそ、長期の運用プランで適度な量の通貨を保有し、低レバレッジで取り引きしていくことをおすすめします。
それではまた。
くま吉でした!
あなたにたくさんの幸せがありますように♪